「hanawine*ハナワイン」ネットショップはじめました。
梅雨らしいどんよりとした空模様のなか、少し早起きして今週一週間を振り返ってみました。
7月13日の月曜日、営業を終えた深夜0時からよなよな始まるワイン勉強会、
ビオ楽。
「ビオってなんだ?」
「自然派っておいしいの?」
「おいしくないの?」
素朴な疑問を胸に抱きつつ、あふれる好奇心を抑えられない人たちが集う、熱い熱いワイン勉強会、
ビオ楽。
今回は「ビオロジック」「ビオディナミ」「自然派ワイン」「ヴァン・ナチュール」という単語について、共通認識を持つべく簡単にカテゴライズしてみました。
【ビオロジックとビオディナミ】
ビオロジック(オーガニック)を日本語にすると有機農法。ビオディナミはビオロジックの一種で、生体力学を取り入れた、さらに規定が厳しいもの。天体や様々なものの動きを考慮しながら、独特の調剤を用いて土壌を活性化します。
ビオロジックもビオディナミも、畑のなかでの「農法」を規定しており、あくまでブドウに対してのアプローチにすぎません。そのブドウを使ったワインを「ビオワイン」と言っていますが、醸造段階で培養酵母(⇔天然酵母)による人工的な香り付けを行い、酸化防止剤をたっぷり添加し、加熱殺菌処理などを行えば、とても飲み物として「自然な味」になり得ないのは、想像に難くないでしょう。
この点がややこしいところで、「ビオワイン」を商業的に売り文句にしているワインは、ブドウはビオロジックで造っていても、ワイン醸造はまったく自然な製法ではないことが多々あります。ワインに対しての規定はないため、実際に飲んで判断するか、造り手の言葉を信じるしかありません。
【自然派ワイン、ヴァン・ナチュール】
これに対して「自然派ワイン」「ヴァン・ナチュール」は、ビオロジックよりさらに踏み込んだ考え方をしています。私たちが何気なく「ビオ」と呼んでいるワインも、実は自然派ワインやヴァン・ナチュールのことを指しているのかもしれません。
フランス・ローヌ地方のヴァン・ナチュールの先駆的生産者ティエリー・アルマンのもとでワイン造りを学び、「ギガル」の栽培長も務めた大岡弘武さん(ル・カノンでおなじみ!)によると、「『ビオロジック』にせよ、『ビオディナミ』にせよ、いくら健全にブドウを育てても、そのブドウからとった果汁に糖分を補ったり、酸化防止剤を多用してワインを造れば、その味わいはヴァン・ナチュールのそれとはかけ離れたものになる」。
ヴァン・ナチュールの造り手たちは、可能な限り自然に育てたブドウに一切添加物を加えずに、天然酵母による自然なワイン造りに励んでいます。もちろん、自然な造りに耐えられるだけのパワーがブドウにあるからこそ、ヴァン・ナチュールができるのですが・・。ただ、彼らの中には政府や認証団体の与えてくれる「ビオワイン」という肩書きにこだわらず、あるいは商業的なイメージを嫌い、あえて認証を取らない造り手もいます。
そんな、本物のヴァン・ナチュールの造り手によるワインの味わいは、非常にナチュラルで瑞々しい美味しさにあふれ、身体全体に、染み込んでいくかのような『エネルギー飲料』だと実感しています。
【これからの自然派ワイン】
自然派ワインのブームは終わりました。「自然派だったらなんでも旨い」などという人はほとんどいませんし、むしろ自然派ワイン特有の香味を苦手とする人もたくさんいます。畑から採れたての野菜がいくら美味しいと力説しても、世界からマクドナルドはなくならないでしょう。ワインも所詮は嗜好品ですから、それぞれ自分の好みで判断すればいいのです。自然派ワインのブームは終わり、自然派ワインという言葉は、自然になくなるのではないでしょうか。それだけワインのいち製法として、根付いてきたのだと思います。
だからこそ、しっかりと造り手を選ぶ必要があります。また、同じ造り手の同じワインでも、環境の変化に敏感な自然派ワインは、コンディションによって大きく味わいが異なってきます。それこそ鮮魚や生ものを扱うような感覚を持っていないと、せっかくワインに込められた大地のエネルギーや造り手の思いも、台無しになってしまいます。
さあ、どうでしょう?ビオワイン、自然派ワイン、ヴァン・ナチュールに対する理解の一助になりましたでしょうか?興味をお持ちいただけましたか?
「自然派ワインだから旨い」「自然派ワインはおいしくない」といった議論はあまりに不毛でナンセンスだと思っています(好きか嫌いか、という嗜好性の問題はありでしょう)。「自然派」というカテゴリーにこだわりすぎて、ひとりひとりの造り手の想いや、ワインとしての完成度が見えなくなってしまっては本末転倒ではないでしょうか。売り文句として安易に「自然派」という言葉を乱用するのは、厳に慎むべきと思っています。
でも・・・。
世界的にブドウ栽培、ワイン醸造がきわめて自然な造りを志向している、という流れはどう考えても事実ではないでしょうか。その結果、おいしいワインに仕上がるのか、あまりおいしくないものになってしまうのか・・・。そこのところは千差万別で、「方法論」としてのビオをことさらに強調する商業的風潮そのものが嫌い、というのは個人的にも大いに頷けます。
では、どんな言葉・表現を用いて、
「その土地の個性と、収穫年の気象状況を最大限に反映させるために、より自然な栽培と自然な醸造を心がけた結果、おいしくできたワイン」
を端的に言い表せばいいのでしょうか?
今までは「自然派ワイン」という言葉が、清濁併せ呑みつつ大手を振って歩いていましたが、
今後はどうなるのか。
話が堅くなってきましたね・・・。「そんなん分からんよ」と投げ出したいところですが、
ビオ楽
という場で、ワインを飲みながら、喧々諤々、丁々発止、みんなで語り合いたいと思います。
盛り上がるビオ楽。「たんなる楽しい飲み会」という側面もないことはないですが(笑)、今後の展開にどうぞご期待ください。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。