濃くて深みのあるルビー色の液体。
最初に甘美な干しブドウのような香りがフワッと感じられますが、少しも押し付けがましいところがなく、あくまで控え目に、ひっそりと、くすぐるように、静かに広がっていきます。
イタリアはヴェネト州、
Ca’ la Bionda(カ・ラ・ビオンダ)という造り手の、
Amarone della Valpolicella Classico 2004
(アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ)
舌触りも肌理が細かく、どこまでも滑らかかつ繊細。普通、アマローネを飲むとアルコール感がカーッときて(そのボリューム感が好きだ、という方もいらっしゃいますが)、やたらに濃密で、舌にまとわりつくようなコクと、ビリビリするような後味があるのですが、このアマローネときたら・・・。
もちろん豊かなコクと深みは十分に感じられるのですが、余分な濃度は削ぎ落とされ、核となるエキス感とミネラリティが適材適所において洗練された、
とにかくエレガントな印象。そう、どこかでこんなワイン飲んだことがあるなあと思えば、香りの要素やボリューム感は異なりますが、その根底には、
偉大なブルゴーニュワインのそれと相通じるものがあるような気がします。
海底が隆起して出来上がったため、海の沈殿物が何層にも重なっていて石灰分が豊富なマラーノの丘にある畑を、親子三代で守り続けるカステッラーニ家。自分たちを農民と称してヴァルポリチェッラの自然に敬意を払い、
除草剤はもちろん一切薬剤の使用をしていません。
収穫は全て手摘み。健全で完熟した葡萄を選び、畑に自生する自然酵母を使って発酵。フィルタリングは味わいの複雑味を破壊してしまうとの理由で行わず、 また、
発酵時のSO2の添加は一切無し。瓶詰めの際に最低限加えるだけですが、それが可能なのも、たゆみない畑仕事による健全なブドウ果のおかげでしょうか。
『ヴァルポリチェッラではなく、マラーノの特徴を表現したい。 マラーノ渓谷は、その標高の高さと石灰分、冷涼な気候から繊細さをワインに与えてくれる。果実味の奥にブルゴーニュのような繊細さを感じさせ、余韻を味わえるワインに仕上げたい。』
造り手の想いが滲み出た、感銘をうける一杯のアマローネ。次回の入荷は11月以降になりますが、同じ造り手による、もう少し廉価な
ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・スペリオーレ・ラヴァッツォルでしたら在庫がございます。(2,342円)
こちらも、造り手のスタイルがよく表現された、キレイで繊細なワインです。ブルゴーニュがお好きな方、繊細なワインをお好みの方は、ぜひお試しください。イタリアの、ヴァルポリチェッラの、マラーノ渓谷のテロワールを、きっと感じていただけると思います。
カ・ラ・ビオンダ(ヴェネト州)/ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・スペリオーレ・ラヴァッツォル
【イベント情報】11/8(日)19時~「ジビエ!キノコ!イタリアワイン!!の会」