浅田シェフの
球速は格段にアップしていた!
今年もフランスに行かれたシェフからいろいろ話は聞いていました。
レストランでの食べ歩きは勿論、重要なワイン生産者のセラー訪問などなど・・・
半年振りのLeCoco会は今のフランスのエキスとエスプリが凝縮したかのようなディナー会でした。
アミューズ オクラの花のファルシ
丁寧にカットされたオクラの生命力の風味 オクラの花に詰め物された旨味タップリのホタテのクネル ほんのりマスタードの風味 塩味、苦味、旨味がシンプルな構成ゆえに
スピード感を伴って口中を満たしてくれる。
ワインはレ・ヴァン・コンテのロゼ・ペティアン POW BLOP WIZZ
日本に120本しか入荷しなかったレアワイン オリヴィエらしい気取らないカジュアルなワインなんだけどシェフの料理とあわせると味覚の各要素を際立たせたり、調和させたちする重要なメッセンジャーに。料理あってのワインだなと感心。
前菜 ドンブ産カエルとキノコのギリシャ風 緑のソース
レモンが基調の色とりどりのハーブの風味が香りのパレットのよう。調律された香りは繊細な肉質のカエルの食感と風味を上手に引き立て、アクセントにオレンジ色のオーボリとゆうキノコが生で添えられて絶妙。
フレデリック・コサールのサン・ロマン2007 料理の多様なハーブの風味とこのワインの持つ複雑なフルーツの香り、そしてサン・ロマン固有の酸と料理の塩味が重なり合う様はブルゴーニュワインの快楽的な喜びのひとつでは?
前菜 フランス産プティグリ(エスカルゴ)のポトフ
エスカルゴがポトフになって出てきた!目が丸くなるような展開。だけどしっかり着地するのが浅田さんの凄さ。(お皿の端に乗っているのは浅田さんの遊び、定番エスカルゴを香草バターで合わせたもの・・・にくいな)
知る人ぞ知る、各方面で注目の的
アレキサンドル・ジュヴォーのル・モン2005飲み頃のバックビンテージ発見!(飲むべし!)すこ~し発泡しつつミネラルとハーブ満載のシャルドネ。時間とともに熟したリンゴのニュアンスが湧き出て変化する様は妖艶ですらある。
魚 天然スズキのグリエ 赤玉葱のクーリ
なんなんだろ!?みんな気づいていると思うけど浅田さんがグリエした魚のふっくら感、そして「張り」といいたい肉質の強さ。強度と繊細が共存した魚のうまみ。特別だと思います。
ピエール・オヴェルノワ アルボワ・プピリン シャルドネ2007 シェリー香と合わさった胡桃のような香ばしい風味がグリエしたスズキの香りと好相性。
肉 仔牛のレバーのロースト ジュのソース
仔牛のレバー初めて食べました。しつこくないのに力強さを感じ、やみつきな感じ。
ジビエもそうだけど、こちらの人格がワイルドな肉食系に変化してゆくよう。
浅田さんの焼いたお肉料理を食べるといつも思う。「命を頂いて強くなってゆく」感じを。
浅田さんの素材の見極めと、それを損なわない絶妙な火の入れ方ゆえなんだろう。浅田さんは素材が「こうして欲しい」と語りかけているのを聞いていると思います。多分。
マレシャル ラドワ2008 マレシャル2008は総じて早飲みできて最高に旨い。飲み頃の難しいブルゴーニュのなかで見かけたら買って損のないビンテージです。
やはりレバーとかジビエの血のニュアンスにはボーヌのピノノワールがいいと考えます。
デザート カルフォルニア産黒イチヂクと赤ピーマン
目が丸くなるどころか、目が回りそうだったのがこのデザート。イチヂクとピーマンとスイカとココナッツの組み合わせ。それぞれの要素が口と脳の中でグルグル回りどこで着地するのか一瞬戸惑い、五感がフル回転。ひと口、ふた口・・・食べ進むとことらもヤミツキあっとゆう間に完食。これ凄いと思います。
フィリップ・ボールナール ヴァン・ド・(JO)・リキュール ジュラのシャルドネを昔ながらのジュースの状態で煮詰めてつくるマクヴァン・ド・ジュラの原型のようなワイン
薬草系、スパイス、香ばしい甘味が渾然となり複雑なデザートと旨く均衡してました。
これが飲めるだけでも僕は幸せですが。やはり〆のデザートの満足感は特別なもの。
今回に限らないのですが当然ルココ会でのワインは経験済みのワインですが料理と合わせると別物に変化します。料理と一緒だと見えないものが沢山見えてきます。浅田さんが見ているワインはこうなのかとビックリすることが多々ありとてもエキサイティングな経験になります。本当にワインは本質を手繰ろうとしても手からすり抜けてゆく幻のような存在です。答えはひとつでなく多くはないけどいくつかはあるはず。ルココ会は味覚を様々な先入観から解放させてくれ、情報としてではなくワインも食事も心の喜びに忠実になれるようにリセットしてくれる浅田シェフの贈り物のような食事会です。美味しいものを食べるとはそうゆうものではないでしょうか?